痛風・尿酸ニュース
尿酸値が高めの方にすすめられる食事
森脇 優司(社団法人 青木医院)
ノルウェーとオーストラリアからの2つの疫学的研究によりますと、牛乳、ヨーグルト、チーズなどの乳製品、粗い小麦粉で作られたパン、シリアル、果物を多く摂るグループでは、摂取量の最も少ないグループと比較して、血清尿酸値が有意に低いことが明らかにされています。
1日に1 杯以上ミルクを飲む人や、ヨーグルトを1日毎に食べる人は、ミルクやヨーグルトを摂らない人と比べて、血清尿酸値が低いとの報告もあります。
ほとんどの野菜はプリン体が少ない食材ですが、ほうれん草、カリフラワーやブロッコリースプラウトなどのプリン体を多く含む野菜を食べても尿酸値には影響がないとされ、むしろ野菜食やほうれん草を追加した食事が、血清尿酸値を低下させると言われています。
繊維分の摂取量と高尿酸血症のリスクには負の相関関係がみられ、食物繊維の摂取によって尿酸値の上昇が抑制されますが、その理由として、空腸におけるプリン体の吸収抑制によると考えられています。したがって野菜類に含まれる繊維分が尿酸値の上昇の抑制に関与している可能性が示唆されます。
牛乳、野菜や海藻類などは、プリン体含有量も少なく尿の中性化にも有効です。痛風/高尿酸血症の患者さんは、尿路結石のリスクと考えられる酸性尿を呈する人が多いようですが、これらの食品は尿のアルカリ化による尿酸排泄促進効果も期待されるので、十分な飲水とともに積極的に摂ることが奨められます。
地中海食* は血清尿酸値を低下させ、高尿酸血症のリスクを低下させると考えられています。和食は、比較的低カロリーの上、食物繊維もたくさん摂ることができるので、尿酸値がさほど上昇することはないと思われます。しかし和食は、地中海食と比較すると、塩分が多く、一方、オリーブ油、乳製品が少ない、などの欠点もあります。塩分の過剰摂取は血清尿酸値の上昇と関連があるという報告もみられるので、和食のよさはそのままにして、漬物、干物 (プリン体も多い) などの塩分を控え、オリーブオイルやミルクレシピを積極的に取り入れたいと思います。魚介類の過剰摂取は血清尿酸値を上昇させるので、極力控えるのが望ましいかもしれませんが、動脈硬化性疾患のリスクを有する患者さんについては、EPA、DHAなど不飽和脂肪酸を豊富に含む魚介類の摂取を画一的に制限すべきではないでしょう。ケース・バイ・ケースで柔軟に対応する必要があると考えられます。
* 全粒粉のシリアルやパン、パスタ、あるいは芋類などを主食とし、野菜や果物、豆類、ナッツ類などの植物性食品を多く摂り、主たる脂肪源としれオリーブオイルを用い、また動物性食品としては、ヨーグルトなど低脂肪の乳製品や魚介類を摂り、脂の少ない鶏肉を週に数回とし、脂の多い獣肉は少量にとどめる食事
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