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痛風・尿酸ニュース

未来へ、そして世界へ (To the Future、 and to the World)

荻野 和秀(鳥取赤十字病院 循環器内科 副院長)

第57回日本痛風・尿酸核酸学会総会を2024年2月29日(木)~3月1日(金)、鳥取市のとりぎん文化会館で開催するにあたり、簡単に総会の内容をご紹介いたします。(https://www.kwcs.jp/tsufu57/index.html

学会総会のテーマは「未来へ そして世界へ」です。「未来へ」という言葉には、若い研究者に積極的に参加・発表していただき、未来に向けて学会が発展して欲しいという願いを込めました。また、「世界へ」という言葉は、今まで本学会を通して、この分野を日本がリードしてきた実績を鑑み、世界の研究者との交流を行い、これからも世界へ影響力のある知見を発信し続けていきたいという思いから選びました。

これを踏まえて、特別講演は、「世界へ」というテーマから、米国コロラド大学のJohnson教授をお招きする予定です。Johnson教授は肥満や高血圧・腎臓病等の多岐にわたる病態・疾患と尿酸との関連について数多くの論文を発表されています。また教育講演は、大阪大学の齊藤達哉教授をお迎えして、痛風関節炎にも関連しているインフラマソームに関する世界的な研究をお話しいただく予定です。シンポジウムでは、「世界へ」というテーマから、今まで日本から世界に向けて発信してきた知見をもう一度振り返る企画を考えています。さらに「未来へ」というテーマからこれからの学会を背負って立つ「若手委員会」企画による痛風・尿酸関連の最新のトピックスの紹介を予定しています。

私自身は、循環器特に心不全を専門としてします。ご承知のように、SGLT2阻害薬が慢性心不全に有効であるというエビデンスが確立しました。驚くべきことは、左室収縮が保たれた心不全(HFpEF)に対して、SGLT2阻害薬が初めて有効性を示したことです(N Engl J Med 2021)。収縮力が低下した心不全(HFrEF)で有効とされたACE阻害薬/ARB、β遮断薬、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬が、HFpEFに対しては、大規模臨床試験で有用性を見いだされず、HFpEFに対する薬物治療が、対症療法のみの現状だったので、この論文のインパクトは極めて大きく、間違いなく2021年の循環器領域のエポックメーキングな論文の一つだったと思います。興味深いことに、その後SGLT2阻害薬が心不全患者の血清尿酸値を下げることが報告され(Eur Heart J 2022)、SGLT2阻害薬の心不全に対する有効性の機序の一つとして言及されています。奇しくも、この二つの論文の著者に、留学中の上司や以前の共同研究者が複数名を連ねていることもあり、尿酸降下作用を初めとするSGLT2阻害薬の多面的な作用にとても興味を持っています。本総会ではSGLT2阻害薬に関するアフタヌーンセミナーも予定されているので個人的にも楽しみにしています。

現在、有意義な学会総会になりますよう、鋭意準備を進めております。引き続きご理解・ご協力を賜りますようお願い申し上げますとともに、皆様のご参加を心よりお待ち申し上げます。

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