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理事長通信

第16号 年頭のご挨拶

あけましておめでとうございます。新年にあたり、皆様の一層のご健勝をお祈り申し上げます。昨年1年間も、公益財団法人痛風・尿酸財団の活動にご協力、ご支援いただき、誠にありがとうございました。

財団の年間事業の軸である痛風・尿酸研修会は、昨年9月にオンラインではありますが開催することができました。研修会の会場でおなじみの皆さんにお会いできないことは誠に残念なことでしたが、東京に来ないと参加できなかった以前と比べて、気軽に参加できることは大きなメリットであり、この分野には今まで疎遠だった先生方も参加されるようになました。その意味では、コロナ禍のおかげで痛風・尿酸に関する診療の裾野が広がったようにも思います。研究助成に関しても、例年以上の応募があり、12月に審査を終えました。こちらも、今までこの分野には関与がなかった研究者の応募がどんどん増えているのが印象的でした。製薬企業からの研究助成が激減しているなどの社会的背景があるとはいえ、この傾向は好ましいことでると思っています。と言いますのも、痛風・尿酸に関する研究や臨床の裾野を広げることが、現在の痛風・尿酸財団が求められる最も大きな使命であると考えているからであります。

1984年、財団法人痛風研究会(当時)は、日本痛風・核酸代謝学会(当時)と車の両輪のような関係で設立されました。そして財団と学会の役員もほとんど兼任、研究助成への応募もほとんどが学会会員であり、当然のことながら助成金の取得者もほとんどが学会会員でした。しかし、2008年に新公益法人制度が施行された関係で、当財団も2009年に公益財団法人に移行認定され、監督官庁の内閣府からは、特定の学会との強いつながりを避け、幅広い研究者に門戸を広げるように指導されました。私は、日本痛風・尿酸核酸学会で副理事長などの役職についていましたが、当財団の理事長になるにあたって、学会とは一線を画し、学会の役員はすべて辞退しました。さらに学会会員以外の方々にも財団の理事、評議員に就いていただくようにしてきました。

我が国は、痛風・尿酸関係の研究や臨床では世界をリードする立場にあります。多くの尿酸降下薬は日本で発明し、開発された薬剤ですし、診療ガイドラインも我が国で世界に先駆けて策定されました。尿酸トランスポーターの発見やプリン代謝のkey enzymeであるキサンチン酸化酵素の解析も我が国で行われました。これら一連の成果には、学会と財団の連携が大きな力を発揮してきたと思っています。今、日本痛風・尿酸核酸学会は、金子理事長のご尽力で独自の財政基盤も確立され、若い世代の研究者も集う勢いのある学術団体になってきています。ただし、我が国が今後もこの分野で世界をリードするためには、新たなシーズを見つけるために、幅広い研究者に、痛風・尿酸の分野に関心を持っていただくことが何より必要であろうと思っています。このような考えに基づき、研究助成の審査をするようになり、現在では助成課題の半数以上が学会員以外の方々が受けるようになってきました。これは、痛風・尿酸分野における今後の発展を見据えた場合に、とても重要な視点であると考えております。このような事情を、公益財団法人 痛風・尿酸財団をご支援いただいているすべての人々にご理解をお願いし、今後もなお一層のご支援をお願い申し上げたいと思います。

コロナ禍も3年目になりましたが、ウィズ・コロナといいながら、全員がマスクをし、感染対策に注意せねばならない状況が続いています。早くコロナの呪縛から逃れることができる世の中になり、今年こそは9月に一堂に会しての痛風・尿酸研修会が開催できることを願ってやみません。
 

2023年正月

公益財団法人 痛風・尿酸財団 理事長
医療法人財団順和会山王メディカルセンター院長
山中 寿

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