理事長通信
第13号 コロナ禍の年頭所感
明けましておめでとうございます。昨年はコロナ禍に翻弄され、社会の成り立ちも大きく変化した1年でした。幸いなことに秋以降は新規感染者数が国内では激減し、やや安心して年が越せるかと思っていたら、今度は、オミクロン株という新しい変異株の流行が始まり、まだまだ先が長いことを思い知らされました。たぶんこれからも新しい変異株が次々と生じて、コロナウイルスの置き換わりが起こります。「懸念される変異株」は、アルファから始まり、オミクロンで15番目(2つ飛ばされたので、実は13番目)ですが、今後もパイ、ロー、シグマと新たな変異株が生じるでしょう。しかし、24番目のオメガになるころには、感染力は強いが、毒性は弱く、普通の風邪と変わらない程度のコロナウイルス変貌していることを期待しています。それまで、まだしばらくは、新しい変異株が出るたびに規制が強化されたり、株価が下落したりする日々が続くと思います。
コロナ禍において、社会のありようはずいぶん変化しました。当財団の研修会も、はじめてZoomを用いて開催し、無事終了することができました。
コロナウイルスが弱毒化した場合に迎えるであろうコロナ後の社会(After Corona、AC)が、コロナ禍の前の社会(Before Corona, BC)に戻るかどうか。いろいろ意見がありますが、私はNoだと思っています。コロナ禍は確かに社会を変えましたが、実は、時代の流れに逆行する働きではなく、時代の流れを加速化させただけだと思っています。世界的に見れば、Before Coronaにおけるグローバリズムによる国際分業が過度に進んだことの反省が起き始めていましたが、コロナ禍を契機に、After Coronaにおいては脱グローバリズムの流れに向かうでしょう。学会の学術集会も、Before Coronaではどんどん肥大化していましたが、製薬業界からの支援の減少や利益相反の問題などで、大きな過渡期を迎えていました。それがコロナ禍で大きな会場で集まることができなくなり、Web開催に移行して、経費削減が成功しました。Web開催はメリットが多いこともあり、After Coronaにおける研修会の基本になるでしょう。このようにAfter CoronaがBefore Coronaとは異なった世界になることは確実のように思います。その中において、当財団がどのように社会に貢献していけるのかを、柔軟に考えていきたいと思っております。
さて、当財団の主な活動のひとつであります研究助成ですが、平成3年度は33題の応募がありました。外部委員を含む7名の選考委員に客観的にご評価いただき、2021年12月8日に開催した選考委員会において、16の研究に対して助成することを決定いたしました。多数の応募に感謝申し上げるとともに、この研究助成が、先進的で有意義な研究の一助となることを願っております。
本年の皆様のご多幸をお祈り申し上げます。
2022年1月1日
公益財団法人 痛風・尿酸財団 理事長
医療法人財団順和会山王メディカルセンター院長
山中 寿