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理事長通信

第9号 本年度の痛風・尿酸研修会の開催について

何となく気が晴れないのは、梅雨空を覆う黒い雲のせいだけではありません。コロナ禍において東京五輪が有観客で開催されることになったことで、私に心の中も黒い雲が漂っています。6月20日に東京都の緊急事態宣言が解除された途端、新規感染者数は増加に転じました。世界的な変異株の増加の中で、関係者を含めると数万人が世界各国から入国することを考えると、暗澹たる気持ちになります。関係者は「安心安全」と口を揃えますが、安全と安心は全く別物。「安全」は統計学を用いて客観的に決まるものですが、「安心」は個人の心の中で主観的に決めるものです。この世の中には「安全だけれど安心できない」事はいっぱいありますが、「安全でないのに安心できる」事はほとんどありません。有観客の五輪開催に関しては、優秀な専門家が口をそろえて「安全でない」と言っている状況では、とても「安心」はできないですよね。一番危惧するのは、五輪期間中に選手村でデルタ株の大きなクラスターが発生することです。1万人以上が入村する選手村には入院施設もなく、コロナ感染者が出た場合の医療体制も全く不十分ですから、結果的に都内の医療機関に大きな負荷が生じることになります。どうかダイヤモンドプリンセス号の二の舞にならないように、と祈るばかりです。

さて、当財団が毎年開催しております痛風・尿酸研修会ですが、今年は9月12日(日)にオンライン形式で開催をいたします。本来であれば、皆が一堂に会する場で開催したいのですが、9月までにコロナ禍が収束しているとはとても思えません。ほとんどの医療関係者はワクチン接種を済ませていますが、研修会に参加される方の中には、まだワクチンを接種しておられない方も多いと予想されますので、多くの人が集まるのは避けるべきでしょう。一方で、コロナ禍の中でネットを使った学会や講演会が増えて、既に多くの方々がネット研修を経験しておられます。そのためにオンライン形式の研修会開催は以前よりずっと容易になりました。参加者は、貴重な日曜日を1日使って東京までお越しいただく必要もありません。日曜日の午前中に、ご自宅でコーヒーを飲みながら、有益な学びの時間として参加していただけます。この研修会は、我が国の痛風・高尿酸血症診療のレベルアップを図ることを目的としています。痛風・高尿酸血症は、頻度の高い生活習慣病ですので、幅広い医療関係者に、痛風や尿酸関連の診療に携わるに正しい知識を学んでいただきたいと思います。それは、多くの患者さんに適切な診療が行われることにつながります。この意味で、オンライン開催は非常に魅力的な情報伝達ツールです。現地集合で開催するよりも、より多くの、より幅広い医療関係者に研修を受けていただくことが可能になります。奮ってご参加ください。

今年から研修会のプログラムを再編し、第一部は、高尿酸血症・痛風診療の基本を学んでいただく場、第二部は、この領域の進歩を学んでいただく場とします。第一部では、実地診療に従事されている医師や医療関係者を対象に想定し、実際に痛風や高尿酸血症患者さんを診療する場において必要な知識や技術を学んでいただきます。第2部は、現在すでに痛風や高尿酸血症の診療に従事されている方々を対象として、この1年間に得られたこの領域のエビデンスや、研究の進歩に関しての情報を提供いたします。各々の講師の方々には、このことを踏まえた講演をお願いしております。最後には、すべての講師にも参加していただき、Q&Aセッションを設けます。日常診療における疑問点についての活発な質疑応答を期待しております。多くの方々にご参加いただいて、実り多い研修会になりますよう、準備を進めたいと思っております。

申し込み方法につきましては、本ホームぺージに記載がありますので、ご参照ください。

https://www.tufu.or.jp/medical/study/

コロナ禍における五輪開催で不安がいっぱいの状況ではありますが、何とか東京五輪が無事に終了し、9月に予定通り研修会が開催できることを祈りたいと思います。

 

2021年7月1日

公益財団法人 痛風・尿酸財団 理事長
医療法人財団順和会山王メディカルセンター院長
山中 寿

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