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理事長通信

第7号 令和2年度の総括

コロナ禍に翻弄された1年でしたが、令和2年度も年度末が近づいてきました。公益財団法人 痛風・尿酸財団におけるこの1年間を総括してみたいと思います。

令和2年5月に、当財団の理事長を長らくお務めいただいた鎌谷直之先生から、私が理事長職を引き継ぎました。私も以前から当財団の運営にはいろいろ関与してまいりましたので、学会の活動はそれなりに理解していたつもりではありますが、実際に理事長となってみると、いろいろ勝手が異なりました。しかしながら常務理事杉山公夫氏、財団事務植松美香さんの強力なサポートを得て、私にとっての初年度を、何とか終えることができそうです。

本年度は何といってもコロナに翻弄された1年でした。三密を避けることが求められて、Face to faceの会議の開催はほぼ不可能になり、財団運営に支障が出るかと思われましたが、幸いなことに当財団では鎌谷先生の時代からZoomシステムを採用しており、毎週金曜日の定例事務会議、年2回の理事会、評議員会、そのすべてをZoomを用いたWeb会議で実施することができました。Web会議はこの1年で社会的にも定着した感がありますが、実際に、参加者に遠方からお集まり必要もなく、時間的にも経済的にもかなりの節約ができます。ポストコロナ時代になっても大いに活用したいと思っております。

さて、当財団の主要な年間行事は、1)医療関係者を対象とした痛風・尿酸研修会、2)痛風及び関連疾患に関する調査研究の助成事業が2本柱になっております。

まず、1)の医療関係者を対象とした痛風・尿酸研修会です。毎年9月に全国から100名を超える方々にお集まりいただいて開催していましたが、コロナ禍の下では多数の参加者を集めることができず、開催形式に苦慮しました。最近の学会はWeb開催が主流になっておりますが、それなりに経費が掛かること、財団の少ない人数では開催リスクも大きいと考えましたので、一計を案じ、参加者に講演資料を配布して自習していただく方法で開催しました。講演予定であった先生方にお願いして、講演資料をコンパクトにまとめた資料を作成し、知識を確認する試験問題と共に提出していただきました。結果的に、多くの方々に興味を持っていただくことができ、本年も120名の参加応募をいただいて、何とか研修を行うことができました。

次に、2)の研究助成事業ですが、こちらはコロナの悪影響を受けることもなく、順調に進みました。コロナ禍により臨床の現場は大混乱しており、一部の臨床研究では登録や追跡調査に支障をきたしているようです。しかしながら、当財団に集まる研究は、比較的基礎的な研究が多いためか、応募にはあまり影響が見られなかったようで、結果的に例年とほぼ同じ45題の応募をいただきました。そして外部委員3名を含む選考委員会による選考委員会を立ち上げ、最終的に13題の優れた研究に対して研究助成を行いました。この研究助成により、痛風や尿酸の研究が進展し、素晴らしい成果が出ることを心より期待しております。

このように、令和2年度の事業はコロナの影響を受けながらも、何とか順調に終えることができそうです。来月からは令和3年度が始まります。まず第一に「コロナ退散」を願うばかりですが、ワクチンの供給もままならないようですので、コロナ禍の収束にはまだまだ時間がかかりそうです。With コロナやむなし、と考えて柔軟に対応していかざるをえません。それ以外にもいくつか問題点があります。まず、財政的な問題として、低金利のため果実収入が減っているうえに、企業からの寄付が激減しております。何とか基盤の確立に努めたいと思います。次に、女性役員の登用の必要性です。気がついてみると、当財団の理事、評議員は全員男性で、女性はゼロ。いくら痛風が男性の病気であるからと言っても、昨今の社会情勢を鑑みれば、問題ありと指摘されても仕方がありません。来年度は何とか女性役員を登用したいと考えております。

このように、皆様のおかげで何とか無事に年度を終えられそうですが、多くの皆様の本年度のご協力に感謝し、次年度にも変わらず、ご支援をいただきますよう、お願い申し上げます。

2021年3月1日

公益財団法人 痛風・尿酸財団 理事長
医療法人財団順和会山王メディカルセンター院長
山中 寿

 

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