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第12号 高尿酸血症・痛風の治療:ガイドライン第2版発表

日本痛風・核酸代謝学会が2002年2月に発表した「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン(第1版) (編集委員長:細谷龍男慈恵医科大学教授)」は、これまで高尿酸血症と痛風の治療の規範となるものでした。

それまで、さまざまな治療法が行われていたこの分野に、一定の標準的治療の指針を示した画期的なものです。 その後、世界各地で同様のガイドラインが発表になる先駆けとなった指針です。 もちろん、個々の患者さんにより事情は異なるので、ガイドラインに100%従う必要はありませんが、 全く指針のない分野では治療が混乱するばかりです。 この8年間にこのガイドラインが果たしてきた役割は測り知れません。

しかし、そろそろこのガイドラインも改訂する時期になりました。 この間、薬物治療や食事、嗜好などの生活習慣と高尿酸血症、痛風の疫学調査などの研究発表が相次いでいるからです。 また、高血圧、心臓病、メタボリックシンドロームとの関連についても多くの研究を通じて進歩が見られました。

そこで、日本痛風・核酸代謝学会ではガイドラインの改訂作業に入り、山中寿東京女子医科大学教授を中心に17名のガイドライン改訂委員が選ばれました。 近年発達してきた治療ガイドラインの編纂手法を導入し、多くの文献からの情報抽出、外部からの情報導入などを行い、議論を重ねた後、2010年1月1日に発行されました。 現在、メディカルレビュー社から2100円で発売されています。

このガイドラインは口頭で、2010年2月26日、日本痛風・核酸代謝学会で発表され会員には周知されました。 今回の改定では高尿酸血症の定義について、尿酸沈着症という概念を導入し、その視点からは7.0 mg/dLを超えるものが高尿酸血症とされました。 高尿酸血症と心臓病などとの関連は、異なった意見がある場合は一方に偏ることなく併記しています。 また、最近のエビデンスから生活指導の重要性を強調したことも特徴です。 食事等については、総プリン体として記載したこと、尿酸換算の値も記載した事など、わかりやすく使いやすいガイドラインになっています。

是非、「高尿酸血症・痛風治療のガイドライン、第2版」を入手され、熟読される事を希望します。

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