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2019年04月23日

第127号 深い学習、深い心

 

チェス、将棋に続き囲碁もコンピュータが人間より強くなったことはよく知られています。韓国の世界最強棋士を破り有名になったアルゴリズムがアルファ碁です。これを作った会社の名前はdeep mindで、和訳すると「深い心」でしょうか。その名前の由来は、いうまでも無く人工知能(AI)の手法、deep learningに由来します。日本語では「深層学習」と訳されています。

Deep learningの”deep” の意味は、もちろん、層を数多く設けることによりますが「深層学習」と訳すと、アルゴリズムの形式に限られてしまいます。私は、英語の直訳で「深い学習」と訳すべきだったと思います。Deep mindの和訳は「深層心」とはならないはずです。

Deep learning、deep mindには、アルゴリズムの形式に層(layer)が多く含まれ、深い層となるというのが主な意味ですが、deep-layer learning、deep-layer mindとなっていない理由に、脳による「深い学習」という意味が含まれていることがあると思います。

日本の科学は輸入科学の特徴として表層の理解に留まることがしばしば見られます。とにかく現場に役立つ科学を、という事で、深く理解せず、形式的な手法のみを取り入れて、結果が出ればそれで良しとすることころがあります。それで当面の産業への応用という面では表面的に問題なく進行するというわけです。

しかし、最近になり事情は大きく変わりつつあります。産業の中心が誰でも理解でき、目に見える「モノ」から「情報」へと移りつつあるという事実です。モノは見ることにより模倣も困難ではありません。しかし、情報の模倣は容易ではなく、アルゴリズムを模倣しても「深い」理解には至りません。それこそ「深い学習」「深い理解」が必要なのです。

最近の日本のAIブームは結構な事ですが、応用や形式的なアルゴリズムのみの「shallow learning(浅い学習)」「shallow mind(浅い心)」とならない事を願うばかりです。Deep learningの反対語としては、むしろ「superficial learning(表面的学習)」でしょうか。


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