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2013年12月17日

第48号 生産者重視から消費者重視へ

時代が生産者重視から消費者重視に移っていることは多くの人の認める所である。しかし、具体的にどのような手段を取ればいいであろう。すぐ思いつくのは、例の「おもてなし」の心である。もちろん、日本の美点である「おもてなし」の重要性を否定するつもりはない。しかし、それで十分だろうか。

私は、そのような情緒的な要素に加え、科学的な手段が不可欠だと思う。生産に高度な科学、技術が必要なように、消費者重視にも高度な科学、技術を応用できないであろうか。

消費者の意向を尊重するためには、データを集める必要がある。それを分析し消費者を幸福にするにはどのような手段を取ればよいかを理解する必要がある。しかし、日本企業はそれを自明と考えていないであろうか。あるいは、容易と考えていないだろうか。

自分の持つ生産技術を過信し、自分がすばらしいと思う技術を実現すれば消費者は自然に幸福になると勘違いしてはいないだろうか。最近の電機産業の低迷を見ると、その批判は必ずしも的外れではないとも思える。

薬作りでも同じような事が言えないだろうか。化合物の合成技術を過信し、このような品質は日本企業しか達成できないと思っていないだろうか。自分の技術を実現化すると、必ず患者は幸福になると勘違いしていないだろうか。本当に消費者である患者を幸福にする手段は何かと言う研究を怠っていないだろうか。

消費者を最大に幸福にする手段を予測するためには情報技術を用いる必要がある。消費者は人間であり、人間であるからこそ多様だからである。それぞれの消費者を幸福にするには均一のサービスではだめなこともあるだろう。

日本社会では、モノとデータは重視されるが、情報は無視される傾向がある。情報の本質は、どのようにすれば消費者が幸福になるかと言う予測であるが、それは量的情報を含む必要がある。それは、その予測の確からしさを示す数値であり、その予測される幸福の大きさを示す数値と、その大きさの信頼性を保証する数値である。このような分析なしに自己の技術のみを信頼する事は危険である。


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