理事長通信
第23号 新春雑感
あけましておめでとうございます。本年が皆様にとって輝かしい1年になりますことを心よりお祈り申し上げます。
公益財団法人 痛風・尿酸財団も、2020年に鎌谷直之先生から理事長職を引き継いで、今年で5年になります。2020年から始まったコロナ禍の影響で、研修会の開催などが影響を受けましたが、もう一つの柱である研究助成は継続でき、先月も尿酸や痛風の研究の裾野を広げていただけるような目新しい研究課題を中心に助成することが決定しました。
しかしながら社会の変化のためか、企業からの寄付金が激減したことにより、財団運営は苦しい状態が続いており、毎年赤字決算が続いております。この対策として、事務所移転などにより支出削減に取り組むとともに、港区ふるさと納税制度を利用した個人からの寄付金募集を開始するなど収入の増加を図っており、赤字額はわずかずつではありますが減少してきています。さらに本年からはYahooネット募金のサイトを利用して幅広い募金活動を開始する準備を進めており、理事長のストレスもやや軽減気味と言ったところです。
一方で、私個人にとりまして、昨年10月以来は激動の日々でした。青天の霹靂で東京女子医科大学学長に選任され、10月23日に着任したところ、あろうことか東京女子医科大学理事長まで兼任することになり、これまた大幅赤字に苦しむ東京女子医科大学の経営再建まで任されてしまいました。幸い12月6日付で新理事長が選任され、現在では東京女子医科大学学長職に専念できる状態になりましたが、結果的に診療活動はすべて休止し、44年間続けていた「お医者さん」を卒業いたしました。現在は、管理者として問題山積の学内の混乱収拾に努める日々が続いています。日本は皆保険制度のために国民が等しく優れた医療を受けられる大きな恩恵があるのですが、そのために病院の収入は保険点数で決められていて、大幅な伸びは期待できない中で、物価高あり、人件費も上げねばならない、設備投資も必要、IT化にも対応せねばならないと、どの病院も増収減益状態が続いております。構造的な問題があるなかで、何とか自助努力で経営を改善させねばならず、日々頭を痛めております。
「お医者さん」をしていた頃は、「今日は昨日より良い医療を、明日は今日より良い医療を」と思って日々精進を重ねておりましたが、今は、「今日は昨日より良い経営を、明日は今日より良い経営を」と思って、隠忍自重の日々を送っております。
本年も、公益財団法人 痛風・尿酸財団ともども、よろしくご理解、ご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。
2025年1月1日
公益財団法人 痛風・尿酸財団 理事長
学校法人東京女子医科大学 学長
山中 寿