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理事長通信

第4号 コロナ禍における研修会

新型コロナウイルスは、世界中の人々の社会生活に大きな影響を与えました。SARS-CoV-2という名のウイルスは、ウイルスとしての病原性よりも、地球社会全体に影響を及ぼしたことで歴史に名を残すことになりそうです。

当財団の活動にも少なからぬ影響がありましたが、なかでも例年9月に開催しております研修会が開催できなくなったことが大きな問題でした。国内外を問わず、学会が軒並み開催できなくなり、いずれもWeb開催に移行するか、延期・中止になるかの二者選択であったようです。インターネットが普及し、ネットから情報を得ることが当たり前になった現在では、Web開催が有効な開催方式であることには異論がありません。ただし、学会や研修会では、会場で集中して聴講するため、勉強効率が上がるのですが、自宅に居ながらにして聴講するWeb開催で、どれだけ集中して聴講できるかはわかりません。実際に参加した人々の満足度がどうであったかについては、全く検証されていないのが現実のようです。おまけにWeb開催には多額の費用も準備も必要ですので、当財団のような小さな団体では、経費の点でも人手の点でもなかなか難しいものがあります。

そこで一計を案じました。あくまで臨時措置ではありますが、例年通り参加を募り、参加者に講演資料を配布して自習していただく方法です。財団から講演予定であった先生方にお願いして、講演資料をコンパクトにまとめた資料を作成し、知識を確認する試験問題と共に提出していただきました。そして、資料の内容を転用、譲渡しないことの誓約をいただいた参加者に、メールで配布し、試験問題の回答をいただいた時点で、修了証を発行いたしました。

この方法ですと、参加者は、時間のある時に自分のペースでゆっくり自習できるメリットがありますし、資料を作成していただいた講師も、自分が伝えたいことが参加者に十分に理解していただけますし、財団にとっても、事務作業に手はかかりましたが、経費節減の点でメリットがありました。まさに三方良し、コロナ禍における研修会の在り方としての一つの形だと思います。

実際、この開催方式に多くの方々に興味を持っていただき、本年も120名の参加応募がありました。例年の参加が100~150名程度ですので、ほぼ例年通りの方々に講義に参加していただいたことになります。参加していただいた皆様、そして資料を提供していただいた講師の先生方に、心より御礼申し上げます。

ただし、この方法では、一堂に会して議論する場を提供できませんので、質疑応答ができません。これは大きなデメリットです。やはり好ましい開催方式としては従来の形が基本になると思いますので、本年の臨時措置に対する御意見などを伺って、来年度以降の形を決めていきたいと思います。

「世の中はすべて二面性。悪いこともあれば良いこともある。」「必要は発明の母」。いろんなことを考えさせてくれるウイルスだと思いますね。

もちろん、誰もがコロナ禍の収束を祈念するのですが、残念ながらSARS-CoV-2ウイルスが地上から速やかに消滅するとは考えにくく、インフルエンザウイルスの例のように、人類とウイルスが共存共栄するような世界に移行するしかないように思います。まずは、一刻も早い社会機能の回復を祈ります。

2020年10月1日

公益財団法人 痛風・尿酸財団 理事長
医療法人財団順和会山王メディカルセンター院長
山中 寿

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