痛風ってどんな病気

痛風の歴史

痛風の歴史

痛風は最も古くから知られた病気の一つです。エジプトから発掘されたミイラの関節の中に尿酸塩を見つけたという報告があります。紀元前には、医学の父と呼ばれたヒポクラテスが報告しています。西洋史上の人物で痛風に苦しめられてきた人は多く、マケドニアのアレクサンダ-大王、神聖ロ-マ帝国皇帝のカルロス五世、プロシア国王フリ-ドリヒ大王、フランスのルイ十四世、宗教改革のルター、清教徒革命のクロムウェル、芸術家ミケランジェロ、レオナルド・ダ・ビンチ、詩人ダンテ、ミルトン、文豪ゲ-テ、スタンダ-ルやモ-パッサン、天才物理学者ニュ-トン、生物学者ダ-ウィンと、全く枚挙に暇がありません。

これは余談ですが、白亜紀の恐竜、ティラノサウルス・レックスが痛風を患っていたと言う報告があります。化石に尿酸塩によって浸食されたと思われる跡があるそうです。

一方、日本では痛風は明治以前にはないとされた病気でした。安土桃山時代に日本を訪れたポルトガル人宣教師のルイス・フロイスは日本人には痛風がないと記録し、明治のはじめにもドイツ人医師ベルツが「日本には痛風がいない」と記録しています。 痛風が日本史に忽然と現れるのは明治になってからで、実際に増えたのは戦後、それも1960年代になってからです。現在では全国に数十万人の痛風患者がいると推定されています。

アジアの国々でも痛風は現在急増中です。台湾では以前より痛風が多く報告されています。太平洋のポリネシア諸国は遺伝の関係で、もともと痛風患者が非常に多い事が知られていました。中国でも、特に沿岸部では痛風患者が急増中です。東南アジアの諸国やインドでも増えているようです。

アジアで痛風が急増している理由は、食事内容の変化だと考えられています。栄養事情が良くなりしばらくすると増え、戦争などで栄養事情が悪化すると減少します。日本の痛風患者の増加の背景には食事内容が欧米化し、動物性蛋白質の摂取量が増えたこと、飲酒量の増加、社会構造の変化により個人の行動パターンが変化したこともあげられています。また、肥満も血清尿酸値と関係している事がわかっているので、それも痛風の増加と関係しているでしょう。

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