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2014年09月08日

第81号 製薬産業におけるファウンドリーとファブレス

前回は半導体産業におけるファウンドリーとファブレスについて意見を述べました。大規模モノづくり部門としてのファウンドリーと情報創造部門としてのファブレスの切り離しに失敗し「ひたすら衰退した」日本の半導体産業から何を学ぶ事ができるでしょう。

モノづくりが大切と考えることはいいことです。しかし、情報がより大切と考える人達と運命を共にすることが問題なのです。考え方が全く異なる人々が同じ船に乗り、共に沈んで行くことが問題なのです。経営陣が全く異なる考えのどちらかに立ち、意思決定をすることが問題なのです。

半導体の特徴は輸送にコストがかからないことです。そのため、地産地消が有利とは言えません。車のように多数の部品で構成され、輸送にコストがかかる製品を半導体と同様に考えることは誤りでしょう。その点で、半導体に類似した製品は薬ではないでしょうか。

つまり、薬の産業にも同じ事が言えるのではないでしょうか。多数の部品でできているわけではなく、情報と品質が勝負です。重量あたりの価格は高く、輸送にコストがかかりません。その意味で、半導体産業に起きたことは薬産業にも起きる可能性があると考えられます。

薬産業におけるファウンドリーとファブレスとは何でしょう。ファウンドリーは化合物や錠剤、カプセル、あるいはパッケージの製造部門、ファブレスは創薬、育薬の情報創造部門と考えられます。製造部門としての製薬は重要です。しかし、情報創造部門としての創薬は全く価値観を異にする人々が担当すべきです。前者は大規模で頻繁な製品変更にも耐え、確実性と均一性に執念を燃やす人々が担当すべきです。その反対に後者の事業は不確実性と多様性を前提に情報分析と予測力に優れた人々により行われるべきです。どちらも重要な事業であり、どちらが優れているというわけでも無いのです。

半導体産業に学べば、前者は大きいほど良く、理想はオールジャパン体制でしょう。そちらのほうがコストを抑えた上で品質が保たれ、消費者にも良いはずです。さもないと、発展途上国へ移管される可能性があるでしょう。後者は情報科学に長けたベンチャー的な会社体制が適しているでしょう。日本で後者のような産業を隆盛にするには、大規模な教育改革が必要でしょう。

半導体と薬は非常によく似たところがありますが、後者のコストの多くが税金でまかなわれているところに違いがあります。また、後者は健康に大きく関係するという違いもあります。その違いがどのように作用するか注意深く見守る必要があるでしょう。


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