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2014年08月05日

第77号 To err is human(過ちは人の性)

日本ほど過ちに対して非寛容の社会があるでしょうか。過ちを犯さない人は居ません。居るとすれば、それは自分の過ちに気づかないだけです。あるいは気づいていてもそれを隠している人です。

1865年、メンデルは生物学史上最大の発見「メンデルの法則」を発表しました。あまりにもずば抜けた発見であったため、35年間評価する人は現れず、1900年になって3人の研究者が同時にその偉大さに気づいたのです。生物学はそれをきっかけに大発展を遂げます。

しかし、1865年のメンデルの論文には問題がありました。それを発見したのは史上最大の統計学者で遺伝学者、RA フィッシャーです。彼はメンデルの法則を証明する、えんどう豆の数が統計的にほぼ不可能な割合になっていることを指摘しています。メンデルが自分の主張に都合の良いようにデータを多少いじったことは可能性としてありえます。メンデルはこの点で批判されるべきです。しかし、だからといってメンデルの法則の論文の価値は不動です。

日本社会が過ちに対し非寛容な理由は、これまで理事長通信で繰り返し述べているとおりだと思います。モノの特徴である「確実性と均一性」を、生き物にも求めているからです。人間を含めた生き物は「不確実で多様」です。過ちを犯さないことはありえない。過ちを犯すことを認めて初めて、その確率を出来る限り減らす対策を取ることができます。

他人の過ちを見つけると社会全体が一斉に刃を向ける日本社会に戦慄を覚えるのは私だけではないでしょう。今日は、非常に悲しい気持ちです。


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