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2010年06月17日

第14号 痛風の治療薬アロプリノールに抗狭心症作用

以前から高尿酸血症が狭心症や心筋梗塞を増やすかどうかについて議論がありました。アロプリノールなどで尿酸を下げる事に痛風発作を抑える以上の意味があるかという議論が長年なされてきたのです。この議論にまた新しい側面が加わりました。最近発表された論文によると、尿酸を低下させるアロプリノールに狭心症を抑える作用があると言うのです。結果は最新のイギリスの医学雑誌、Lancetに発表されました。

アロプリノールは痛風の治療薬として世界中で広く用いられている薬です。尿酸の合成を行う酵素、キサンチンオキシダーゼを抑え、血清尿酸値を低下させる事により痛風を改善します。

著者らは65人の狭心症患者をランダムに割り付け、アロプリノールと偽薬のどちらかを6週間服用させた後に運動をさせ、色々な観点から狭心症が改善したかを調べました。例えば、運動を始めて心電図で異常が出るまでどれくらいかかるか、などを調べたのです。不公平にならないように、同じ一人がアロプリノールと偽薬を、時間を変えて服用するクロスオーバー法が用いられています。ある人はアロプリノールを6週間服用して、その後に運動試験を行い、その後で偽薬を6週間服用して運動試験を行いました。また別の人は逆に、最初に偽薬を、後にアロプリノールを服用しました。どちらの試験を先に行うかはコンピュータがランダムに選択する方法を取ったのです。

その結果、アロプリノールを600mg/日服用した方が、明らかに心電図異常が起きるまでの運動時間や胸痛が起きるまでの運動時間が長く、トータルの運動時間も長い事がわかりました。違いを示すP値は0.0002, 0.0003と疑いの無い差が見られたのです。

このアロプリノールの狭心症に対する効果はアムロジピン、ニトログリセリン、イバブラディンなどに劣らない程度で、約13%運動時間を延ばしたのです。

アロプリノールが狭心症に聞く理由は不明です。尿酸が低くなる事が狭心症に効果的である可能性もありますが、その可能性は低いでしょう。実は、アロプリノールはキサンチンオキシダーゼを阻害しますが、この酵素は活性酸素を作ります。従って、アロプリノールによりキサンチンオキシダーゼが阻害され、そのため酸化ストレスが抑える可能性があるのです。更に、エネルギーのもとであるATPは分解されて結局キサンチオオキシダーゼにより分解されますが、この酵素を阻害する事によりATPが上昇し、心筋にエネルギーを与える可能性もあります。他にもいくつかの可能性がありますが、いずれにせよ、痛風の薬アロプリノールに明らかな抗狭心症作用がある事がわかったことは非常に面白い事です。最近帝人ファーマが開発した痛風、高尿酸血症治療薬フェブキソスタットの作用もキサンチンオキシダーゼ阻害であり、フェブキソスタットに抗狭心症作用があるかどうかを確かめる事は興味ある研究になるでしょう。


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